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21話

祝珩は切れた電話の画面を見つめ、長い間ぼんやりしていた。

兄が自分から会いたいと言ってきたのだ。喜ぶべきなのに、思ったほど嬉しくない自分がいる。

ハッとして我に返った祝珩は、最近疲れているのだろうと思った。

指先が無造作に画面をタップし、連絡先リストが整然と並んでいた。取引先から家族まで、すべての名前がきちんとフルネームで表示されている。

ただ一つだけ特別な形式がある。顧楠の番号は全ての連絡先の一番上に位置し、前に大きなアルファベット「A」がついていて、登録名は「A-NAN」となっていた。

ふと恍惚とした気分になり、指をさらに下へスライドさせ、ある苗字の頭文字まで辿り着いた。同じ頭文字の何十も...