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177話

「だから私は……」

樹の幹の先端が積もった雪の重みで少し折れ、揺れながら雪の粉を振り落としていた。凌落は話に夢中になりすぎて気づかなかったが、目の良いアルファはそれを見逃さず、急に胸が締め付けられた。

祝珩の顔色が一瞬で青ざめ、躊躇うことなく前へ飛び出し、呆然とするベータを抱きしめた。「危ない!」

変化は一瞬のうちに起きた。

白銀の雪景色の中、枯れ木は積雪の重みに耐えきれず、突然折れた。成人男性の太ももほどの太さの幹が重々しく落下してきた。すべては電光石火の速さで、凌落が見たのは黒い影が飛びかかってくる姿だけで、次の瞬間には二人とも雪の上に倒れていた。

彼が状況を把握したとき、目の前には...