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16話

「それはすべて彼のものだったはず。ベータの口腔、腸穴、腰腹、背中の浅い腰窩まで。彼の熱い精液を注がれて開花したベータは、日々年々の調教によって熟れた蜜の香りを放つようになった。全身に彼の烙印が押され、それらすべてが彼の領地であるはずだった。

なのに、誰かが境界線を越えた。

性器が狭い通路に挿入され、また抜かれる。湿った柔らかな媚肉がしがみついて離さず、くちゅくちゅという水音が徐々に二人の結合部から空気中に広がり、僅かに残った理性を容赦なく刺激した。一度開いた感情の扉から、言葉にできない感情が瞬時に彼を包み込み、砕け散った鏡の破片一つ一つが実体化し、反射される光景はすべてあの個室での一幕となって...