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112話

「好きだ、貴方が好きなんだ。ずっと貴方だけを想い続けていた。

全て私のせいだ。記憶が混乱して、人違いをして、これほど長い間、間違った相手に気持ちを向けてしまった。貴方にこんなに辛い思いをさせてしまって。

よければ、もう一度契約を結ばないか?今度は貴方が甲方で、私は一銭も要らない。残りの人生をすべて貴方に捧げる。

殴られても罵られても構わない。ただ貴方を大切にしたい。尊重して、守って、これまで奪ってしまった全てを取り返したい。

凌落、愛している」

燃料計の針が徐々に底を示し、車の速度が落ちていった。計器盤の針がゼロに戻り、祝珩はアクセルを踏んでエンジンをかけようとするが、何度やっても始動しない...