Read with BonusRead with Bonus

980話

灰熊の統領が巨大な掌を振り下ろしてきた。肉体を持つ人間二人どころか、霍元奇が建てた小屋さえも容易に粉々にできるほどの一撃だ。

この状況に、龍飛の体内では既に浩瀚な真気が呼び起こされていた。灰熊の統領の掌が迫るのを見て、彼は紫炎獣火を繰り出して相手を斬殺しようとした。

「龍飛、やめろ!」

霍元奇はまるで龍飛の意図を先読みしていたかのように、手を伸ばして彼を制した。

「奇兄さん?」

龍飛は驚いて霍元奇を見た。まさか霍元奇が自分の行動を阻むとは思いもしなかったからだ。

「お前の紫炎獣火は赤炎魔龍由来のもの。破壊力が強すぎる。この俺が手塩にかけて建てた住処をお前の手で壊されたくはないんだ!...