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972話

龍飛の紫炎獣火は真気を借りて放たれ、その速さは実に素早いものだったが、巨大な黒豹の前では、まるで小さな鳥が大鳥を見るようなものだった。

紫炎獣火の攻撃を避けた巨大黒豹は、龍飛に破壊された運搬車を一瞥し、喉から低い唸り声を発した。

「シュッ!」

唸り声が届く前に、黒豹の姿は既に龍飛へと飛びかかっていた。鋼の刃のように鋭い二本の爪が、銀色の光を放ちながら一瞬で龍飛の顔面へと切り裂いてきた。

「ドン!」

大きな音とともに、黒豹の爪は龍飛の前に張られた真気の防御壁に激しく引っ掻かれ、その厚い真気の盾に二筋の深い傷跡を残した。

「やるな、真気の盾で防御していなければ、こいつの攻撃を避けるのは...