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921話

「この音からすると、この石の壁を打ち破れる可能性があるのか?」

龍飛の目に一筋の光が閃いた。そして全力を振り絞り、すぐさま石壁に向かって強く拳を打ち込んだ。

「ドン!」

大きな音が響いたが、石壁にはただ深い掌の跡が刻まれただけで、壁全体を崩すことはできなかった。

龍飛の今の功力ではこの石壁を砕くことはできないが、この壁の向こう側に別の空間が存在することは確かだと理解した。

もしこの石壁を突破できれば、ここから出られる可能性があるかもしれない、と龍飛は心の中で思った。

「この壁、あまりにも分厚すぎる。少なくとも数メートルはあるだろう。俺の功力がもう少し深ければ、ここから出られるかもしれないのに!...