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716話

「まさか黒山谷にこんなに多くの巨狼がいるなんて!」

目の前の光景に龍飛ら五人は息を呑んだ。数え切れないほどの黒山巨狼が雷雨前の黒雲のように、奥地から黒々と押し寄せてきていた。

「飛兄、どうしよう?」

黒山巨狼たちが自分たちの方向に突進してくるのを見て、王流通は顔面蒼白、冷や汗を流していた。

「みんな慌てるな。まずは隠れる場所を探そう!」

龍飛が提案し、周囲の高い木々を見回すと、すぐさま身を躍らせて木の幹に飛び乗った。

同じように、残りの四人も急いで木に登った。黒山巨狼の戦闘力は驚異的だが、どんなことがあっても木に登ることはできないはずだ。

高い場所から足元を通り過ぎていく黒山巨狼を見な...