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713話

危険の存在に気づいた黒山の巨狼は、身を翻して密林の奥へと素早く逃げ去った。

「なるほど、こいつ意外と賢いな。尻尾を巻いて逃げるとはね!」

黒山の巨狼が逃げ出すのを見て、赤峰宇は追撃する気配もなく、龍飛の元へ戻った。

「確かに、テストの猛獣と比べると、こいつはかなり機敏さがあるな」

龍飛は同意するように頷いた。テストの仮想猛獣なら、殺されそうになっても決して逃げ出すことはないからだ。

「飛兄貴、すごいっすね!まさか黒山の巨狼を追い払えるなんて!」

王流通は興奮した様子で龍飛の側に駆け寄った。先ほどの龍飛と赤峰宇が連携して黒山の巨狼を撃退した光景を思い出し、彼の心は尊敬の念で一杯だった...