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632話

「最終決勝の場で、覚悟しろ!必ず貴様を打ち倒してみせる!」

龍飛はそう言い放つと、墨雨を連れて立ち去った。白いスーツに身を包んだSランク戦士の唐宇が、その場に呆然と立ち尽くしているのもまったく気にかけずに。

「龍飛、墨雨のことを考えて明日はお前の命を助けてやろうと思っていたが、今となっては、もう慈悲の心など持てそうにないな!」

唐宇は龍飛に好機を台無しにされて腹を立てていたが、龍飛に対して殺意を抱くほどではなかった。結局、自分の地位があれば、墨雨はいずれ自分のものになると思っていたからだ。

だが、龍飛に無視されたことで、常に高みにいた彼の自尊心が許せなかった。だ...