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582話

「死ね!」

虎頭獅が容赦なく自分に飛びかかってくるのを見て、龍飛は目を冷たく細め、手にした軍刀が雪の光を描きながら、真っすぐに虎頭獅の腹部へと突き刺さった。

仮想世界とはいえ、龍飛の五感は現実さながらの臨場感を感じていた。たとえテストに合格できなくても、こんな凶暴な猛獣に噛まれたくはなかった。

「シュッ!」

軍刀は鋭い風切り音と共に虎頭獅に突き刺さった。しかし、刀が虎頭獅に触れた瞬間、龍飛は唖然とした。

「なんだ?金剛不壊か?」

軍刀は虎頭獅の腹部に刺さったものの、それ以上深く入ることはなく、逆に巨大な力が龍飛を刀もろとも吹き飛ばしたのだ。

龍飛が手にしていた刀は鉄をも切り裂く軍...