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579話

「なぜ黒狼が二頭だけなんだ?もう一頭はどこだ?」

龍飛の思考は黒狼の走る足取りに合わせて素早く巡らされていた。さっきまで確かに三頭の黒狼の気配を感じていたのに、目の前に現れたのはたった二頭だけだった。

最も不思議なのは、龍飛の優れた五感をもってしても、もう一頭の黒狼の存在を感知できないことだった。もしかしたら、その黒狼は自分の五感の範囲外にいるのだろうか?

だが龍飛には分かっていた。このテストが三頭の黒狼がいると示している以上、必ずどこかに知られざる場所に隠れている一頭がいるはずだ。

「とりあえず、この二匹から片付けるか!」

龍飛はそれ以上考えるのをやめ...