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502話

「うああっ!」

土俵から悲痛な叫び声が響き渡った。龍飛と鉄山の二人が後ろに数歩よろめき、それから体勢を立て直した。

「何が起きたんだ?」

その悲鳴を聞いて、土俵の下の観客たちは目を見開いた。誰の口から発せられた悲鳴なのか、はっきりと聞き取れなかったからだ。

「まさか…こいつの力がこれほど強いだなんて!」

だが鉄山の心中は明らかだった。パワーグローブを装着して龍飛とパンチを打ち合ったのに、自分が負けるとは。それも完全に打ち負かされるとは。

やがて、人々はようやく我に返った。鉄山の表情が異様な苦痛に歪み、額から大粒の汗が次々と滴り落ちるのが見えたから...