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379話

断情崖は人跡まれな場所で、周囲は荒涼とした山々ばかり。突然聞こえてきた足音に、龍飛がまず思い浮かべたのは陸雪瑤と林依純だった。

しかし、すぐに龍飛はその考えを打ち消した。その足音はあまりにも微かで、歩調にも緩急があり、明らかに来訪者は並の人物ではないと悟ったからだ。

普通の人間が歩くとき、体重のせいで足が地面に着くと重々しいリズミカルな音が出るものだ。

だが龍飛が今聞いている足音は、ゆっくりとしていながらも軽やかで、龍飛の聴力が一般人の百倍も優れていなければ、こんな微かな音さえ気づかなかっただろう。

音のする方向を見ると、霧に包まれた林の中から、青い色の人影がこちらへとゆっくり近づいて...