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274話

龍飛が借りているこの2LDKのアパートは、普通の造りではあるものの、バスルームだけは特別な設計になっていた。これを見れば、この家の持ち主も龍飛と同じく、風呂好きな人間だということがわかる。

バスルームのドアは純ガラス製で、中から柔らかな光が漏れ出し、林依純のシルエットがガラスドアにくっきりと映し出されていた。

バスルームから聞こえる水音と、ガラスに映るシルエットに、龍飛は目を瞬きもせずに見入っていた。

「はぁ…こんな極上の美女と一緒に住むなんて、拷問じゃないか!部隊の男たちと一緒にいた方がまだマシだったかも!」

龍飛はため息をつき、月を見上げるしかなかった。結局、見えるだけで触れないの...