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62話

「ほぼ一瞬のうちに、俺は地面から転がり上がった。駆け寄って思い切りドアを蹴ったが、すべては無駄な努力だった。まったく効果がない。

そのとき、通報しようと思ったが、さっきの中年男が余裕綽々としていた姿が目に浮かんだ。通報したところで、何の役にも立たないような気がして、考えた末にその考えは消し去った。

そこで俺は王潔のことを思い出した。通報が効かないなら、闇で闇を討つしかない!

電話をかけてすぐに王潔が出た。

「坊や、随分と長いこと連絡くれなかったわね。今日は何の用事かしら?」王潔の声は相変わらず誘惑的だった。

「あの、姉さん、大変なんだ。妹が男に強姦されそうになってる。俺じゃ敵わない。...