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160話

もちろん、そう断言できるわけではない。この世に絶対というものは存在しないからね。もし本当にここを見つけられる者がいるなら、私も何も言えないだろう。こういった事は、今の状況では誰にも予測できないことだから。

洞口で立ち止まり、紅薔薇の手を離してから、ゆっくりと頭を穴から出してみた。洞口の周りには木と雑草しかなく、人の姿は見えなかった。それで安心した。洞口周辺に人がいなければ、まだ安全だということだ。

「外は誰もいないよ、安全だ。上に行こう」と私は振り返って紅薔薇に言い、上に出ようとした。

ちょうど上がろうとしたその時、紅薔薇が突然私の腕を引っ張り、「私が先に出る!」と言った。

少し躊躇い...