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54話

彼も彼女に続いて立ち上がり、気づかないうちに後を追っていた。この不思議な「黎安」が一体何をしようとしているのか見てみたかった。

彼が気づいたのは、黎安が向かったのは廊下の最も奥にある人目につきにくいトイレだということだった。このトイレは誰も使わないというわけではないが、極めて利用者が少ない場所だった。

中に入るやいなや、男女の会話が耳に飛び込んできた。

正確に言えば、行為の前の甘い言葉のやり取りだった。

「義兄さん、何してるの、やめてよ、早くこのバイブ取り出してよ。そんなに弄ったら、もう寝かせてあげないからね!」

「お前はいつもそう言うくせに、触れば即濡れて、足を開いて俺に身を委ねるじ...