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93話

猛然と振り返り、楚修は無意識に部屋に駆け込もうとした。

「何を急いでいる!」

古羽が楚修の腕をぐいと掴み、無理やり戸口で足を止めさせた。彼の顔色は青白く、少し立っているのもやっとという様子だった。明らかにこの午後は彼の心力を使い果たしていたのだ。

「お前の妻だ。見せないわけないだろう?」

「ゆっくり入れ、静かにな」

そう言って古羽は部屋に入っていき、楚修は眉をひそめながら後に続いた。

こんな古羽を見るのは初めてだった。治療で自分をここまで消耗させるとは。

部屋に入るとすぐに、寒冰床に横たわる林雪の姿が目に入った。顔色は以前よりずっと良くなり、血色も戻り、呼吸も安定し...