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539話

この瞬間、黒海の上空から見下ろせば。

巨大な黒い島が、激しく震動する状態にあった。

島の中心部からは、まばゆい黒光が放たれ、天地全てがこの黒い光に覆われ、果てしなく、極限の闇の中に陥っていた。

闇は、丸々三十秒間続いた。

この三十秒の間、天地の間には一筋の光もなく、ただ轟音だけが響き渡っていた。

黒光が散った後、かつての章台宮があった場所には、壮大な建築物が完全に消え失せ、残されたのは平らに薙ぎ倒された廃墟だけだった。

この神主は元々自分のものであった宮殿など全く気にせず、好き放題に破壊していた。

「ほう?」

「面白いな」

章台宮は灰と化して粉々になったが、神主が座る主座だけは何の影...