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514話

古桓からの使いが何を意味するのか、楚修の胸には明らかだった。

異族の門に入る時が来たのだ。

「異族の門」がどれほどの危険を孕んでいるか、果たして生きて戻れるかさえ、楚修には確信がなかった。

だが、この旅は避けては通れないものだった。

「陛下、臣には急ぎの用がございます。先に失礼いたします」

楚修は立ち上がり、皇甫永焱に形式的な礼を取った。彼の呼びかけも「陛下」だった。朝廷の場においては、必要な敬称と礼儀は欠かせないものだからだ。

「楚卿に軍国の要事があるならば、先に退出してよい」

皇甫永焱は頷いたが、心中では楚修が何をしようとしているのか不思議に思っていた。

「陛下に感謝いたし...