5話
「楚弟よ、久しぶりだな、元気にしていたか」
王恺と楚修は旧知の仲、と言えば聞こえはいい。
しかし実際のところ、楚修の目には、この王恺など地を這う虫けらでしかなく、殺したければ一歩踏みつければ済む存在だった。
「なぜお前がここから出て行かなければならないのか、教えてやろう」
「もしお前が阿紫の法的な夫なら、ここに残る資格はある。そうなれば出て行くべきは私、王恺ということになるだろうな」
王恺はわざと声を張り上げた。「皆さん、そうですよね？」
出席者たちは次々と頷いている。
楚修は完全に無視し、ただ小熙熙を見つめていた。その目には父親の愛情が溢れ、もし秘境の戦士たちがこの姿を見たら、驚きのあまり顎が外れてしまうだろう。
「これが食べたいかい？」
楚修は優しく尋ね、小さな餅団子を箸で慎重につまみ、林雪の膝に座る小熙熙に向けた。
「うんっ！」
楚修に対して、まだ六歳にも満たない小熙熙はまったく怖がる様子もなく、人見知りの気配すらない。小さな手を伸ばして餅団子を掴もうとした。
この光景を見た林雪は、もはや周囲の状況など気にする余裕もなかった。彼女の瞳には涙が浮かんでいた。彼女の娘が、ついに父親と対面し、ついに...
以前は楚熙熙が楚修を認めないのではないかと心配していたが、今見る限り、まったく杞憂だったようだ。
「パシッ！」
そのとき、義母の孫琴がタイミングよく駆け寄ってきた。
手を上げて一撃、楚修の箸に挟まれていた餅団子を床に落とし、嘲笑うように言った。「ここで慈悲深い父親のふりをするな、この役立たずの臆病者が。返事一つできないくせに」
「言っておくが、この子は林姓だ。林家の娘で、お前みたいな居候とは何の関係もない」
その言葉に、楚修はわずかに目を上げて孫琴を見た。その静かで冷たい眼差しに、孫琴は全身の毛が逆立つのを感じ、思わず数歩後退した。それでも口を開く。「さっさと出て行くことだ。ここで恥をさらすな！」
「違う、そうじゃないの、彼女は林姓じゃ...」
林雪は慌てて小声で説明しようとした。
「わかっている」
楚修は視線を戻し、手を伸ばして熙熙の頬を優しく摘まみ、口元に笑みを浮かべた。
そのとき、王恺は楚修が自分を完全に無視していることに腹を立て、司会者からマイクを奪い取った。「楚修、正式に宣言する。今日から、お前と林紫の間にはいかなる関係もない。そして私が彼女の夫となる」
「理由は簡単だ。お前は法律上、すでに死人なのだからな」
「もちろん、必要なら別の身分で再登録することもできる。道がわからなければ、喜んで手伝ってやるぞ。ただし、名前はもう元のままというわけにはいかないだろうな」
「そうだな、『楚男』なんてどうだ？」
その言葉に会場は爆笑に包まれ、多くの客が喝采し、中には「処男、出て行け」などと叫ぶ者もいた。
林紫の表情は緩み、王恺の口ぶりから死亡証明の手配が済んでいることがわかり、冷笑しながら楚修を見つめた。
林雪は怒りを覚えたが、それでも楚修を引き留めていた。彼女からすれば、バックグラウンドのない楚修がここで王恺や林紫に立ち向かえば、惨めな結末を迎えるだけだと思われたからだ...
「私が死んだと、どうやって証明する？ もし私が『死んで』いなかったら、どうするつもりだ」
楚修はただ静かに尋ねた。
王恺はさらに得意げに、自信に満ちた笑みを浮かべた。「信じないか？なら賭けをしよう。ここにいる全員が証人だ。もし私がお前の死を証明できたら、お前はすぐにズボンを脱ぎ、下着も含めて、ここから転がり出て行け」
「証明できなければ、私はみんなの前で跪き、十回頭を地面に打ちつける。俺は王家当主だ、約束は守る！」
「いいだろう」
楚修はあっさりと承諾し、隣の林雪は極度の緊張状態に陥った。
「司会者君、私の携帯を後ろの大スクリーンに接続してくれ。証拠を送らせるから」
そう言って王恺は携帯を取り出し、傍らの司会者に渡した。
「はい、かしこまりました」
司会者は急いで頷き、操作を始めた。
司会者の操作により、数分後にはスクリーンに王恺の携帯画面が映し出された。
会場の客たちは興味津々とスクリーンに目を凝らしていた。
「王家主、お携帯です」
司会者は作業を終え、恭しく携帯を王恺に返した。
「楚修、顔を立ててやったのに受け取らないなら、はっきりさせてやろう。ここにいる皆さんにも証言してもらおう。厚顔無恥な奴らが食い逃げするのを防ぐためにもな」
司会者から携帯を受け取った王恺は電話をかけ、その様子がスクリーンに映し出された。相手は王家企業の副社長だった。
「よく聞け。今すぐ、即刻！楚修の死亡証明を私の携帯に送れ」
電話を切った後、王恺はその副社長とのチャット画面を開き、送られてくるファイルを待った。
「どうやって死ぬか、見ものだな」
王恺の顔には自信が満ち溢れ、隣の林紫も同様に嫌悪感をあらわにして楚修を見つめていた。
彼女はもともと楚修とは何の関係もなかった。
ただこの七年間、楚修が彼女の法的な夫という問題があったために、
彼女の評判も生活も不愉快なものとなっていた。
しかし彼女は一度も考えなかった。かつて林家の旧当主に計画を持ちかけたのは彼女自身であり、林雪に望まぬことを強いたのは彼女だということを。
そして林雪から全てを奪い、それを利用して着々と出世し、最終的に林家の当主となったのも彼女だった。
意地悪な女は自分の痛みだけを覚えていて、感謝することを決して覚えていない。
「口を開けて、あーん」
楚修はスクリーンを見ることもなく、周囲からの嘲笑にも一切反応しなかった。
新しい箸に持ち替え、新たな餅団子をつまんで、小熙熙に手渡しで食べさせた。
林雪は心配そうな表情で、スクリーンと楚修を交互に見ていた。
彼女は楚修が侮辱されるのを見るに忍びなかった...
彼女はすでに決めていた。もし楚修が本当に林家から追い出され、行き場がなくなったら、子供を連れて林家を出よう。たとえ路上で寝ることになっても、彼のそばにいたい...
「ふん、あと数分の猶予があるだけだ。ファイルが届いたら出て行ってもらうぞ。本当に見ているだけで胸が悪くなる」
傍らに立つ孫琴が唾を吐きながら罵った。
そのとき、宴会場に「ピン」という音が鳴り響き、王恺の携帯に接続されたスクリーン上のチャット画面に赤いPDFファイルが表示された。
ファイル名は「楚家の食客——死亡証明」と書かれていた。
会場にまた嘲笑の波が広がった。
「楚修、その犬の目を見開いて、よく見るんだな」
王恺は送られてきたファイルを見て興奮し、携帯を掲げ、全ての来賓に向かってファイルをタップした。