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367話

鲲鹏黄泉ホテル、ロビーの接客スペース。

「申し訳ありませんが、お二人は当ホテルの会員ではないため、お客様情報の照会権限はございません」

楚修が座り、鬼鸦がその横に立っている中、赤い仮面をつけた黄泉ホテルの従業員が背筋をぴんと伸ばして言った。その口調には傲慢さと軽蔑が滲み、楚修と鬼鸦を客として扱う気配はまったくない。

なぜなら、黄泉ホテルは匿名カード会員制を採用しているからだ。

そしてこの匿名カード会員になるには、一千万の預託金を一括で支払う必要がある。

楚修と鬼鸦は黄泉ホテルの会員ではなく、このホテルの従業員から見れば、会員でない者はただの貧乏人で、黄泉ホテルに足を踏み入れる資格すら...