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364話

一筆一画、描き出される。

「後宮」。

楚修はこの二文字を書き記した後、立ち上がって去ろうとした。

景王を龍帝の心の中で急速に地位を上げるためには、楚修が外で皇甫永焱のために謀略を巡らせ、朝堂の勢力を配置するだけでなく、後宮からの助力、いわゆる「枕元の風」も必要だった。

それには景王の母、かねてより静かで優雅さで知られる「静姝昭儀」の出番が必要だった。

景王の母の本名は葉静姝、かつて医女として宮中に選ばれ、龍帝が酔った際に醒酒湯を届けた時に寵愛を受け、同じ年の年末に皇甫永焱を産み、龍帝から「昭儀」の位を賜った。

四年前、龍国の危機の際、葉静姝は自ら皇宮太医館の医師たちを率...