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355話

皇甫永焱の返答に、沐英はまったく驚かなかった。

しかし彼女も諦めきれなかった。心の奥底では、楚修と同じように皇甫永焱に後継者争いに参加してほしいと願っていた。なぜなら、現在の太子や秦王、端王は、誰一人として明君になれる器ではなかったからだ。

この三人のうち誰が即位しても、天下の民にとっては災いでしかない。

「本当に老帥の冤罪を晴らしたくないの?あの方の英霊が辱めを受けたままでいいの?!永業兄さんの名誉を回復したくないの?!それに…一年前の楚修の件を解明したくないの?!」

沐英のこの言葉を聞いて、皇甫永焱は黙り込んだ。

もちろん彼も望んでいた。これらの事件の一つ一つ、関わる人々の一人一...