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337話

一蹴りで吹っ飛ばされた万浩闊は、怒りを募らせていたが、やってきた人物が景王だと気づいた瞬間、心臓が凍りつくような衝撃を受け、その怒りを飲み込むしかなかった。

帝京の権門貴族の子弟たちの間で知られている言葉がある。どれほど家柄が良くとも、誰を敵に回そうとも、景王だけは敵に回すなということだ。

この景王殿下は権力も勢力もなく、党争に加わるための支援者もいないが、その性格は果敢で勇ましく、行動の基準は常に正義と道理のみ。相手が王侯貴族であろうとも一切気にかけない。

それに何と言っても、景王・皇甫永焱はれっきとした親王であり、今上陛下の実子である。万浩闊がどれほど傲慢で、どれほどの後ろ盾があろう...