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335話

再度の挨拶を交わした後、秦王はようやく秦王府へと戻っていった。

秦王が去ると、楚修は目の前に広げられた白紙を見つめた。そこには十の姓が書かれていた。「孔、馮、賀、楊、公孫、唐、苗、耿、李、徐」。

机の傍らに掛けられた朱色の筆を手に取り、「徐」の字に斜めに一本線を引いた。

朝廷六部の一つ、兵部は終わりだ。

武安民は清廉潔白で公正な官吏であり、三王のいずれにも取り込まれることはない。また楚修も皇甫永焱のために武安民を引き込む必要はなかった。真の良官であれば、明君を見分ける慧眼を持ち、誰が天下の真の明主であるか、誰が民衆に選ばれた聖君であるかを知っているものだ。

楚修は信じていた。景王が正...