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301話

天雲省から帝京へ向かう「京航3597」便のファーストクラス。

ファーストクラス全体が貸し切られていた。

「わぁ!」

「すごい大きな綿菓子だ!!」

「飛んでる豚みたい!」

機内で南宮離は左右を見渡し、顔をほとんど窓ガラスにくっつけんばかりに、好奇心に満ちた表情を浮かべていた。

苗疆の蠱門の聖女として、彼女は生涯を苗疆の蠱地で過ごし、一見華やかに見えても、実際は一挙手一投足すべてが監視され、自分のスマホすら持てず、世界に対する認識は極めて限られていた。

苗疆から西江省へ向かう道中、身分露見を避けるため、飛行機どころか、実名登録が必要な列車さえ乗れず、ずっと闇のハイヤーを...