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267話

「なんか背中が寒いな」

「そんな感じする?」

孫琴は急に身震いし、無意識に林啓の方を振り向いたが、表情が凍りついた。

なぜなら、彼女は楚修を目にしたからだ。

「どうしたの?」

林啓は孫琴の顔色が変わったのを見て、思わず後ろを振り向き、同じく入り口に寄りかかっている楚修を目にした。

「楚修?お前みたいな役立たずが、こそこそ何してるんだ?」

ほんの一瞬で、孫琴はいつもの態度に戻り、目には相変わらず楚修への極度の軽蔑の色が浮かんでいた。

これまでどんなことがあっても、彼女は気にも留めず、楚修の真の身分や実力を真剣に考えたこともなく、ただ自分の狭い視野から楚修を見下し、役立たずの弱虫だと決めつけていた...