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213話

「殺さないで、殺さないで…」

「お願い、お願いします…」

スターライト号クルーズ船、ボールルーム。

少女の懇願する声には恐怖と無力感が満ちていた。

ポニーテールの少女が欧陽彤の前に跪いていた。顔中涙でぐしゃぐしゃで、目の中にも外にも恐怖の色が広がっていた。

黒々とした銃口が少女の頭に突きつけられている。

「覚えておきなさい。あなたを殺すのは私じゃない。林雪があなたを死なせたのよ」

欧陽彤は自分の前に跪く少女を冷たく見下ろし、氷のような声で言い放つと、引き金に指をかけた。

「彼女を離せ!」

その瞬間、林雪がボールルームの小さな扉を勢いよく開けて現れた。ドアに寄りかかり、息を切ら...