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197話

西江省の招待所。

林紫と楚聖杰が招待所の正門から出てくると、二人は顔を見合わせ、何かの目的を達成したという得意げな笑みを浮かべていた。

「楚家と帝京の虞家のコネを保証として、さらに私が用意させた証拠の数々があれば、孫特使は自分の政治的実績のためにも、きっとこの機会を逃さないでしょう」

楚聖杰は自信たっぷりに言った。

孫偉河を説得するために、彼は楚家と帝京の虞家との関係まで持ち出すことも厭わなかった。

「さて、今回彼がどう対応するか見ものですね」

冷たく笑いながら、二人は門前に停まっていた長いベントレーに乗り込み、車は走り去った。

およそ二十分後。

質素な服装をした、白髪交じり...