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19話

雪竹林グループのビルディング。

南市の中心部に位置し、江家が特に楚修のために用意したものだった。

ビルの32階。

ここは改装された広々とした3LDKの空間だ。

「龍帥、熙熙お嬢さまは恐怖を受けられて、戻ってからずっと部屋に閉じこもったままで、誰も近づけないようにされています」

すでにパーティーから戻ってきた鉄狼が、楚修の傍らに立ち、低い声で告げた。

その時、林雪は口を押さえ、涙をこらえながら、熙熙のいる部屋へと向かっていた。

「熙熙、叔母さんよ。叔母さんが家に連れて帰りに来たの」

そっとドアをノックする。

それまで動きのなかった部屋の中から、ゆっくりとドアが...