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12話

九州国際大ホテル、天子スイートルーム。

「龍帥無事でいらっしゃるとは、秘境の百万の同胞にとっての幸いでございます!」

「私は秘境で千夫長を務めておりました、コードネーム『灰熊』でございます」

楚修の前には、スーツをビシッと着こなした中年の男が極めて恭しく立っていた。この男は秘境の人間であり、現在は西江省の「省府秘書長」という、西江省で実権を持つトップ3に入る人物だった。

鉄狼が西江省で調達した情報や人員は、すべて「灰熊」からもたらされたものだ。

わざわざ省都から南城まで足を運び、龍神に謁見するために来たのだ。

楚修は軽く頷くと、顔を窓の外の雨に向け、眉をひそめた。

さっきまで暖か...