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85話

梅龍の目に狡猾な光が宿った。バラの花など誰が気にするものか。店主との茶番を続ける気もなく、さっさと本題に入ることにした。

「俺は小芳の兄貴だ。金を出せ、そうすれば帰るぞ」

その言葉を聞いた男は、梅龍が自分を騙していたことをようやく理解した。泥人形でさえ三分の怒りを持つというが、まして生きた人間ならなおさらだ。

「喧嘩を売りに来たのか?」男は怒りに満ちた目で梅龍を睨みつけた。

「そうだ、喧嘩を売りに来た。金を出せば、お互い干渉し合わずに済む。さもなければ、警察を呼ぶぞ」

梅龍はそう言いながら携帯を取り出し、警察に通報しようとした。男も相当な剛の者で、梅龍が警察を呼ぼうとするのを見ると、...