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61話

梅龙の目に一瞬欲望の色が閃いたが、すぐに消えた。欲しいと思いつつも、この玉璽が自分のものではないことを彼は理解していた。

規格から見れば、歴代王朝の玉璽ではなく、民間の私印か、あるいは反乱軍のリーダーが使った玉璽だろう。

盛梵天は得意げな表情を浮かべていた。この玉璽は彼の家に代々伝わる宝物で、三千年以上前、彼の先祖が義軍を率いて朝廷に反旗を翻したが、最後は功なく敗れた。しかし、玉璽だけは守り抜かれ、現在に至るまで伝わってきた。専門家の鑑定によれば、その価値は計り知れないものだった。

これは秘密でもなんでもなく、骨董界隈では誰もが知る話だった。そのために、この玉璽は国際的な大泥棒に狙われたこ...