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156話

電話を切った後、梅龙は海老さんの後に続いて会場のホールに入った。今や会場の様子はすっかり変わっていた。中央にはオークション用のテーブルが置かれ、その前には整然と椅子が並べられていた。先ほどまで展示されていた書や絵画はもう見当たらない。

梅龙は黙って海老さんに続いて席に着いた。会場が人で埋まった頃、ようやく趙清純がゆったりとした足取りで姿を現した。

梅龙はその様子を見て、趙清純の商売がかなり大きくなっているのだなと心の中で思った。趙清純は梅龙の視線に気づいたのか、同じように梅龙を見て微かに微笑んだ。

梅龙は頷いて挨拶を返しただけで、何も言わなかった。趙清純は心を落ち着かせると、口を開いた。...