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937話

「最初に目にした瞬間、それがすでに命を宿しているような錯覚さえ覚えた。だがすぐにその感覚は消え去り、それは再び無機質な物体へと戻ってしまった」

「いや、この玉は絶対に何か奇妙な力を秘めている。残念ながら龍飛揚はもう去ってしまったが、縁があって再会できれば、ぜひ彼に教えを請いたいものだ」

陰龍の玉を掌にしっかりと握りしめたまま、私は急いで風呂に入った。

体中の嫌な汗を全て洗い流し、乾いたバスローブを羽織ると、浴室のドアを開けてまっすぐベッドへと向かった。

その時、二人の小娘はまったく私の言うことを聞いていなかった。彼女たちはすでに服を着て、にやにやと得意げな顔で私を見ていた。だが私はそん...