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93話

「歹徒が親しげに兄弟と呼びかける声を聞きながら、肖宇は心の中で白い目を向けつつも、表情の笑みは少しも崩さなかった」

歹徒は興奮と喜びで孫小婭を抱え込みながら出口へと向かい、振り返った時、少し気持ちが緩んだ彼の手の刃は、わずかに一寸ほどずれていた。

その瞬間、肖宇の瞳に冷たい光が走り、葉雪泠の背中に押し当てていた手が素早く上がり、手首をひと振りすると、一筋の冷光が空を切って飛んだ!

「あっ!」

金属と鉄が鳴り響く音とともに、歹徒も苦痛の悲鳴を上げた。

刃が薄く鋭い飛剣が、見事に歹徒の手にあった軍刀を弾き飛ばし、そのまま彼の手首に深々と刺さったのだ!

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