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649話

肖宇の一言に心の内を突かれ、越可児の瞳に宿る輝きが揺らいだ。彼女の唇の端には自嘲の苦笑が浮かんだ。

「それから?そうね、それから何があったのかしら」

越可児は虚ろな声で呟き、その口調はさらに儚げになった。

「越氏財団に対する株式市場での攻撃は、丸五日間続いたわ。その間、六回も成功の一歩手前まで迫ったの。彼らが持ちこたえられなくなって株価が暴落すれば、そのまま一気に仕留めるつもりだった。一度噛みついた獲物は絶対に離すつもりはなかったけど…」

ここまで話すと、彼女の美しく艶やかな瞳には既に暗い影が満ちていた。

越可児は恨めしそうに歯を食いしばり、冷たい声で続けた。

「でも、私が越氏財団...