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509話

夕陽が沈む前、二人の影を長く引き伸ばしていた。

葉雪泠は彼の澄んだ瞳を見つめ、少しずつ笑みを浮かべていった。

夜の帳が静かに降り、彼らを、そして誰もかれもの頭上を包み込んでいった。

越可児はひとり、がらんとした会議室に座り、大きく見開いた瞳で前方を見つめていた。その眼差しには何の輝きもなかった。

どれほどの時間が経ったのか、窓から吹き込む冷たい風に我に返った。

「ふぅ……」

凍えそうになった両手を口元に寄せ、そっと息を吹きかけた。

越可児は立ち上がり、小さなスーツの襟元を整えると、人気のない会議室を見回し、皮肉っぽく冷笑した。

「越式財団、はっ、本当に恩知らずの白眼狼の集まりね。血を吸いすぎ...