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508話

肖宇は紫竹苑を出て、少し方向を確かめてから、先程の広場へと颯爽と足を進めた。

彼とは全く逆方向に向かう燕帰鸿が、半ば強引に宋傾姿を彼らの「戦車」に乗せていることなど、知る由もなかった。

夕陽が徐々に西に傾き、先ほどまで広場に集まっていた刑事隊も、今では葉雪泠が二人の副隊長を連れているだけとなっていた。三つの人影が斜陽に長く伸び、地面に並んで映し出され、何とも寂しげな光景を作り出していた。

「来ました、隊長!彼が戻ってきました!」

望遠鏡を構えて紫竹苑を見つめていた副隊長は、肖宇を見つけるなり興奮して叫び声を上げた。

その興奮ぶりに、ほとんど凍りついていたかのような葉雪泠の表情も、瞬く間に生...