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49話

夏の熱気が和らいだ深夜、心地よい涼風が吹いていた。

だが、客間に仰向けに横たわる老刀は、修理工場から消えない機油の匂いを嗅ぎながら、寝返りを打ち、眠れずにいた。

「肖宇よ、肖宇、お前はいったいどこにいるんだ、なぜまだ戻って来ないんだ?」

老刀はつぶやき続け、深く寄せられた眉間には濃い心配の色が滲んでいた。

今この瞬間、彼はどれほど夜の闇に紛れて大運を抜け出し、肖宇を探しに行きたかったことか。たとえ東海市全体で針を海に探すようなものだとしても、狂ったように追われる危険を冒してでも。

しかし血龍老大の厳しく冷たい警告を思い出すたび、老刀はただ落胆して全ての思いを諦めるしかなかった。

「兄弟…」

雪...