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479話

越可儿が目を見開いたのを見て、肖宇はゆっくりと彼女の手を下げ、燕帰鴻に冷たく言った。

「私の記憶が正しければ、君が探しているのは私のはずだ。でも残念だが、私も越可児も急ぎの用事がある。お相手する時間はない」

そう言うと、彼は越可児の手を引いて前に進み始めた。

今日の燕帰鴻はスーツ姿だったが、その顔を見た瞬間、肖宇は砂漠での黄昏時を思い出した。

確か彼は軍の階級も低くなかったはずだ。部隊に戻りたくないなら、商売の道を紹介してもいいとも言っていた。

その言葉が肖宇の耳には物乞いに施しをするような響きに聞こえたとしても、当時は相手の善意を感じ取れていた。だから再会した今も、肖宇は彼に幾分かの面子を...