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411話

「斉雲礼の言葉が終わる前に、肖宇の表情が急変した。

彼が反応する間もなく、肖宇は一瞬で身をひるがえし、彼の目の前から消えた。

耳元を風が切り抜ける感覚に、斉雲礼はただ茫然とした目を越可児の方へ向けるしかなかった。

その問いかけるような視線を受け、越可児は苦笑いを浮かべた。「斉公子、私も彼がなぜ突然立ち去ったのか分かりません…」

斉雲礼は考え深げに肖宇の背を見つめ、越可児は瞳を凝らして、素早く後を追った。

「あの男、衝動的な人間には見えないけど、一体何があったのだろう?」

肖宇は足早に走り続けていた。さっき、見覚えのあるシルエットが回廊の先に現れ、すぐに視界から消えたからだ。

「あれは宋小娘か...