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37話

肖宇が大運の前の路地に足を踏み入れた瞬間、足取りが予兆もなく止まり、眉をわずかに顰めた。

「どうした?」

扶えられていた老刀は前へ突き出した体を急に引き戻し、痛みに顔をしかめながら声を潜めて振り返って尋ねた。

「何か様子がおかしい」

肖宇は振り返りもせずに口を開き、冷たい視線を真っ直ぐに前方へ向けていた。普段なら人で賑わうはずの路地が、今は静まり返り誰の姿もない。

灼熱の空気が緩やかに流れ、その沈黙には言い表せない重苦しさが漂っていた。

「一人で歩けるか?」

肖宇の声が急に冷たくなったのを聞いて、老刀は思わず周囲を見回し、深く頷いた。そして肖宇の肩に置いていた手を下ろした。

肖...