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36話

その古風で上品な別荘から歩み出た肖宇は、空っぽの両手を軽く振り、何気なく頭の後ろで組むと、林間の爽やかな空気を吸い込みながら、心の底に軽やかな心地よさが広がるのを感じた。

肖宇は骨の髄まで争いごとを避けたい性分だったが、今となっては認めざるを得なかった。美女が側にいて、刺激に満ちたこの生活も悪くないと。

「はぁ」

肖宇は小さくため息をついたが、その口元に浮かんでいたのは物憂げな表情ではなく、どこか穏やかな余裕の微笑みだった。

浮世の半日の閑を楽しむ。

タバコを咥えたまま、市街地の熱風が渦巻く通りを半日ほどぶらついても、一人も極上の美女に出会えず、肖宇の興味も次第に薄れていった。

「美女ってのは...