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344話

肖宇の声は磁性を帯びており、その響きは韓萱萱の心を容易く貫いた。

「肖宇」という名前も、彼女の心の奥深くに刻まれていった。

「肖宇?」

韓萱萱はその名を小さく呟いた。見知らぬ名前なのに、どこか温かさを感じる。

彼の言葉に詰まる様子の裏に、どんな思いが込められているのか、彼女にはよく分かっていた。

韓萱萱と彼は初対面だというのに、彼は身を挺して彼女の前に立ちはだかった。その守られている安心感は、兄さえも上回る衝撃を彼女に与えていた。

胸が高鳴り、彼女は恥じらいながら顔を伏せた。

「なんだこりゃ!」

楚星河の側近ボディガードは、ドアを開けた途端、黒い煙と白い霧に包まれた巨大な物体が轟音と共に迫っ...