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276話

肖宇は一気に三十階まで駆け上がった。普段はゆったりとした快適なオフィスエリアが、今は人々で身動きが取れないほど埋め尽くされていた。

非常避難システムはすでに起動していたが、越可児は冷ややかな笑みを浮かべたまま、水に沈んだような表情で入口の前に立っていた。

彼女の前の人々は明らかに二つのグループに分かれ、すでに顔を真っ赤にして言い争っていた。

「社長、こんな緊急事態なのに、非常避難通路がすでに開いているのに、なぜ人を中に入れないのですか？」

話していたのは西洋の正装に身を包んだ外国人で、物腰の柔らかな顔に薄い怒りを浮かべていた。

越可児は四人の屈強なボディガードに守られていたが、彼女が...