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269話

ケビン・ホード。

肖宇がこの見知らぬ名前を耳にしたのは初めてだった。銀霜をここまで警戒させる人物なのだから、きっと恐るべき存在に違いない。

肖宇は何度か心の中でその名を繰り返したが、特に気にも留めなかった。まして彼が自分の運命の宿敵になり得るとは、まったく想像すらしていなかった。

「確かにそうだな。草を刈って根を残せば、必ず禍根を残すことになる。それに、お前の家の執事も頭のいい男だろう。恐怖が過ぎれば、俺の小さな仕掛けの裏を読むだろうな……」

話しているうちに、彼の笑みは徐々に冷たいものへと変わっていった。

肖宇から放たれる気配の変化を感じ取り、銀霜は彼の脇腹の柔らかい部分をつついた...