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251話

乾七は冷たい息を飲み込むと、慌てて懐から発煙弹を取り出し、空に向けて発射した。

心の中では、今回の騰龍の指揮官が誰なのか、肖隊長に褒められるほどの人物なら、さぞや凄腕だろうと密かに興味を抱いていた。

「もしかして帝都四少の一人じゃないか、それとも無涯兄貴が直々に来たのかな?」

赤と黄色が混ざり合う発煙弹が、空中で爆発し、色鮮やかに広がった。

「長官、見てください、予定の信号です!」

伝令兵が真っ先に空の異変に気づき、急いで長官に報告した。

思考に沈んでいた男は、部下の叫び声を聞くと、すぐに双眼鏡を手に取り、空に広がるパターンを注意深く確認し、緊張していた表情がようやく和らいだ。

「間違いない、...